サンデマンのワインロッジを訪ねると、スタイリッシュな内装の照明を落としたロビーに、見学を申し込んだ観光客がすでに何組か待っていました。数十名ほどが集まると、端正な顔立ちの女性がサンデマンのトレードマークである帽子と黒いマントを羽織り、貯蔵庫を案内してくれました。
湿度が一定に保たれた貯蔵庫内は静まり返り、移動する靴音と、案内役の女性の声が反響し、一層雰囲気を盛り上げます。多くの巨大な樽や、100年以上のヴィンテージボトルが寝かせてある棚を巡り、紅白のポートワインを試飲した後は、観光客が売店へ我先にと群がります。
現地のレストランでもポートワインを飲みました。食前には冷えた白ポートワイン、食後はダルバ・ポルト(DALVA PORTO)のトゥニー・コルヘイタ20年と30年。コルヘイタとは、単一年のぶどうを使い、7年以上樽熟成を行ったものを指します。色は深い琥珀、雨に濡れた冬枯れの雑木林の匂い、甘さはすでに名残となって、到達感を際立たせています。ルビーポートとは全く異なる、別次元の味わいでした。
素晴らしい思い出を胸に刻みつけ、サウナ状態の成田空港に降り立ってから5ヶ月が経ち、新鮮だった驚きや感動が少しずつ変容しています。それは、舌の上で角砂糖がゆっくりと溶けていくように、処理しきれなかった記憶が次第にほどけ、やがて私の中に受け入れられるのです。 |